ペンギンの背中

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秋、自転車とaiko

高校時代に一番聴いたCDと言えばわたしには2枚思い浮かぶものがあって、(今回の記事では「最も聴いた一曲」ではなく「最も聴いたアルバム」をテーマにしたい。)そのひとつがaikoの暁のラブレターである。厳選してどちらか問われれば後者だと思ったので少しお話しようと思う。こういう書き出しをするともうひとつのアルバムのことも書きたくなってしまうから困る。それはまた今度に。

今では絶滅危惧種であるMDウォークマンで音楽を楽しんでいた。田舎なので高校までの通学時間は約30分。単純計算で6曲は聴ける。往復で12曲。夏場は暑いのでバスやら先生の車で通学していたけれど、それ以外の季節はこの一時間がわたしの青春を彩っていたといっても過言ではないのである。(ちなみに休み時間も音楽を聴いていたし、何を隠そう中学と高校は放送部だったので給食の時間や昼休みなんかは放送室にひきこもってCDを流しまくっていた。)

話を戻します。わたしはaikoが特別好きだったわけではない。それなのになぜこのCDを購入したのか、思い出そうとしてもその記憶の先が見えない。だがしかし高校生が自分の好みではないCDを少ないバイト代を使ってわざわざ購入した購入する理由なんてひとつしかない。きっとあの子の好みだったんだろう。わたしはこのアルバムの「白い服黒い服」がすごく好きだった。特に2番なんてすごく優しくて可愛い。こんな世界がいつか自分にも降ってくると信じて疑わなかった10数年前。伝えてあげたいものである。「まだそんな世界は微塵も(略)

白い服黒い服

白い服黒い服

過去に聴いたアルバムの話はどうしても思い出に偏りがちになるのであまりよくないなぁ。そういえばaikoがすごく好きな友人がいるなぁ。他のアルバム貸してもらおうかなぁ。

平成最後の夏とSEKAI NO OWARI

SEKAI NO OWARI というバンドはどうしてこんなにもディスられるのだろうかというのがここ数年ずっと疑問だった。彼らは他のバンドよりは少なからず煌びやかというか、あまり熱くない印象がある。当時「お人形バンド」やら「ままごとバンド」と罵っている人がいて、わたしはそれを聞いてぐぬぬ…と思ったことを記憶している。ファンタジー要素を子供っぽいと捉えて敬遠してしまう層があるというのも現実志向の日本人らしいというかなんというか。だけど今の時代、空飛ぶ列車だとか不死鳥だとかそういうものを音楽の世界に運んでくれる彼らのようなバンドは大切にしなければいけないと思う。


SEKAI NO OWARI「ムーンライトステーション」

ファンタジー要素が一滴注がれるだけで瞬時に無くなる感覚は、これ分かる!という共鳴だと思う。例えばの話、back number が好きな人を終電の24時20分までに最寄駅まで送らなければいけないという曲を歌っていて、中にはその情景を自分の現状や過去の記憶に重ねて「あんなこともあったなぁ。」と、その曲を自身のBGMにしてしまう人もいるかもしれない。だがしかし、SEKAI NO OWARI の場合はそう簡単にはいかない。百万年に一度しか太陽が沈まない世界で火の鳥たちと踊るなんて曲に共感を得られる人はごく稀だろう。SEKAI NO OWARI の音楽の世界での主人公はあくまで彼らであり、わたし自身それに違和感なんてものは微塵もないのである。

花鳥風月

花鳥風月

最近は、バニラズ!マイヘア!とうつつを抜かしていたわたしであったが、おとといの夜だったか久しぶりにSEKAI NO OWARI の世界に遊びにいってきた。サザンカは聴いたけど、まだオオカミくんの曲を聴けてないのであと数日はこちらの世界に滞在するつもりである。


SEKAI NO OWARI「RAIN」Short Version

星野源の振り幅に針が壊れた話

星野源というアーティストを語るにはわたしはいささか未熟者ではないかと思うのである。というかこの音楽ブログを始めて5記事を綴ってみて気付いた話、浅くて広いというわたしの音楽知識では「BASEMENT-TIMES」の足元にも及ばない。足元どころか爪先にも及んでいない。影も踏めなければ背中も見えない。だがしかしこれは自己満足で書いているものなのでそこはもう気にしないことにする。(嘘である)

さて、話をうすっぺらい音楽の話題に戻します。わたしが最初に星野源を知ったのは「SUN」だった。きっと感想は「へー。」くらいだったと思う。でもふとした瞬間に口ずさむ回数が増えていった記憶があって、今試に間奏も交えながら歌ってみると歌詞全文が頭に入っていた。2番もばっちりである。わたしは決して星野源が好きなわけではないし、彼が地元のホールでライブをするという一報を聞いても心が躍ることもなかった。しかしながら全歌詞である。その点に気付いたタイミングで、わたしは彼の曲をもうひとつ知ることとなった。衝撃の出会いを遡ってみると2016年12月14日のFNS歌謡祭。その頃はちょうど「逃げ恥!ひらまさ!」と世間がおかしくなっていた時期で、きっとその番組を見ていた誰もが「逃げ恥歌うんでしょうね!」と思っていたはずだ。しかしその一曲目に彼が選んだのはこちら。


星野源 - くせのうた【Music Video】

わたしは画面いっぱいに映された彼の顔面と「SUN」でもなく「恋」でもない謎の曲の雰囲気にあっさりと引き摺り込まれてしまったのである。なんじゃこら感。好き過ぎる件について。わたしの友人に人生を星野源に捧げてると言ってもいいほどにファンな子がいて、彼女が「この場面で「くせのうた」を出すとか殺す気ですか?」とツイートしているのを見て、きっとそこまでのつもりはないのかもしれないけど、だがしかしあの選曲こそが彼が仕掛けた勝負だったのではないかと思うのですが、そこのところどうでしょう。

もうすぐ連続テレビ小説半分、青い。」が終わってしまうそうで、わたしはカレンダーを眺めながら既にロスが始まっているということをお知らせしたい。主題歌「アイデア」はCD発売はなく配信限定にも関わらず、既にビルボードランキングは第一位とのこと。拍手!


星野源 - アイデア【Music Video】/ Gen Hoshino - IDEA

sumikaが撒いたじゅもん

「確かめに来てくれてありがとう。」

言葉が心臓の真ん中の割と奥のほうにぐさりと突き刺さった。実際のところ「音楽は自宅で」スタイルを貫いているわたしが自分の耳で聴いてみたいと思っていたのはsumikaだったりする。8月19日のMONSTER baSHに駆け込んだ際、とくにかく何を聴き逃したとしてもsumikaだけは譲れなかった。そんな意味も込めて意気揚々とライブTシャツも身に纏ったのである。まさかsumikaのTシャツを着て救護室でバテるわけにはいかないというプレッシャーを自分に課したのだ。いくら足が痛くてもcircus(※メインステージから少し遠い)まで歩くと決めていた。


sumika / Lovers【Music Video】

思い返せばわたしが邦ロックにうつつを抜かせ始めたきっかけがこの曲だったかもしれない。幸せかよこのやろー!殴りたくなってしまうほどに可愛い曲でリピート回数はきっとものすごいことになってる。時間が経っても声がしっかり脳みそに残る感じで今でも5本指に入るお気に入り曲である。話はMONSTER baSHに戻ります。


sumika / ふっかつのじゅもん【Music Video】

youtubeSNSなんかで満足してる人達にどう思われたって構わない。でも俺はこうやって、自分の足で自分の耳で確かめにきてくれる人達には、『sumikaかっこいい!』って思われたい。」

正直もっと肩の力抜いてる人達かと思ってた。汗なんかかかずに風みたいに爽やかな感じで。だからこそ聴きにきて良かったって実感したし、こうやって生で接してみないとバンドの側面とか裏側とかそういうの知らないまま勿体ないなって思えたのである。きっとライブもフェスも体力使うしアラサーには厳しい部分もあるけど、可能な限り、機会があれば、現場に足を運びたい。取り急ぎ、どうすれば11月25日のリリースツアー(Zepp Osaka Bayside)に遊びに行けるのかを考えている。無理なのかなー。うーん。

go!go!vanillasと夏遊び

「好きなロックバンド何?」と訊ねられた際、わたしが答えるのは決まって「神様、僕はきづいてしまった」と「go!go!vanillas」である。一番を問われると、どうしてもその二択になってしまうのだが相手との会話を盛り上げたいがために敢えて後者を選択することが多いかもしれない。どちらのバンドの知識もあるような邦ロック好きには「え、全然違うじゃん…。」と指摘されたことがあるんだけど、ほぼ真逆の立ち位置で歌うロックバンドだから、わたしはどちらも聴くことをやめられないのだ。交互に聴けばほぼ無敵である。


go!go!vanillas / エマ (MUSIC VIDEO)

軽快な曲調、「悩みないの?」と思われそうなくらい肯定的な歌詞。でも楽しい。聴いていて元気になる。彼らのアルバム「Magic Number」を持っているのだが、わたしはその歌詞カードが大好きである。特に「サマータイムブルー」のラストサビ。この部分を聴いたときにわたしは猛スピードのジェットコースターみたいだと思った。

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サマータイムブルー

サマータイムブルー

この歌詞にジェットコースターという言葉は一言も出てこない。それなのにリズムだけで連想させてしまうのが牧さんの魔法である。(ここでは「アトラクションという言葉が連想させるのでは?」という質問は受け付けないこととする。)

夏はバニラズ。バニラズと過ごす夏は楽しい。

あいみょんが眩しい

敗因は最初に彼女のお名前を聞いた時、わたしはPONPONしてる女の子が機械音でつけまつげがどうだこうだと歌ってる姿をうっかり想像してしまったため随分と時間を要して出遅れてしまった。ふと気付いたときには彼女は知名度抜群のシンガーソングライターになっていて「これはしまった!」と思ったのである。

青春のエキサイトメン

2017年発売のアルバム「青春のエキサイトメント」は、あいみょんの1stメジャーアルバムである。レーベルはワーナーミュージック。大事なのでもう一度言います、ワーナーミュージックであります。わたしは一枚のアルバムの収録曲をすべて聴き終えるまでにはなかなかの時間を要する生き物なのですが、何ひとつ構えることもなく吸収できたのでこちらのアルバムは間違いなく本物。


あいみょん - ふたりの世界 【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

全く申し分のない音楽にも関わらず曲のタイトルと中身が一致しないという摩訶不思議な米津玄師現象も今回は確認できなかった。(これが良いのか悪いのかは今後の課題としてまとめていきたい案件である。)わたしは「ふたりの世界」と「RING DING」が好き。特に「ふたりの世界」の1分27秒で見せる彼女の表情が堪らなく。

RING DING

RING DING

そういえば、先日彼女がめざましテレビで特集されていて、聞けばその独特な言葉選びの原点はブックオフらしい。古本として本棚に眠っていた名言集やエッセイなどから様々な比喩表現が生まれたという。本っていいなぁ。本に限らずやはり限界のある視野をどこまで広げていくのかって大事だよなぁ。彼女がその過去を勉学と捉えていたのか、単純に楽しんでいたのかは知る由もないけれど、きっと苦痛ではなかったから今があるのでしょう。分かんないけど。(結局)


あいみょん - マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

とりあえず末恐ろしい。かっこよすぎ。

水曜日と世界観

近年わたしが一番泣いた曲ってなんだろうと振り返ってみたら見事に一曲しか思い浮かばなかった話をしたい。きっと今年の初めだったと思うのだけれど、それはクリープハイプの「バンド」という曲である。

バンド

バンド

「バンド」を聴いた夜から遡ること数か月、クリープハイプの音楽に初めて触れたとき、わたしの中で史上最大級の「これじゃない感」がありました。ハイトーンボイスは好き。でもこれじゃない。トラック最初の曲「手」のAメロ時点でわたしは尾崎世界観の声が最高に苦手だと感じた。苦手だと認識すればわたしは絶対に聴かない。食べものでも人間でもとにかく苦手と思ったものには極力関わりたくない生き物である。


クリープハイプ 「二十九、三十」MUSIC VIDEO

そんなわたしがとある雨の夜に「こ、この…人の痛いところばかりを突いてくる曲はなんなんだ!」と年甲斐もなくめそめそしてしまった。あんなに苦手だと思っていた尾崎世界観に負けた瞬間。崩れるみたいに泣いたあとはそれこそ本当にこのアルバムの「世界観」が変わって、大好きになってしまった。泣きたくなったときだけじゃなくて元気なときにも聴いている。クリープハイプを初めて聴いたとき、わたしと同じように「これじゃない!」を抱いた人がいたならばアルバム「世界観」をぜひ逆から聴いて欲しいと思う。最終トラックの「バンド」から始めて欲しい。


尾崎世界観作詞・作曲FM802「栞」MV フルver.

8月の「めざましテレビ」の水曜日にだけ登場するエンタメプレゼンターが尾崎世界観に決まったらしい。わらう。たのしみ。

破壊的ボカロ曲「快晴」

あ!出会ってしまった!と衝撃波をくらった最初のボカロ曲はOrangestarの「アスノヨゾラ哨戒班」だった。自分でも呆れるくらい繰り返し何度も聴いたけど、どちらかと言えば空間が広がるというより底が抜ける感覚が妙にクセになってしまって、これほどまで降下速度が加速してしまうと気持ちいいなんて表現では整理できないくらいだった。それほどの衝撃だったのある。こんなに広い音楽が他にあっただろうか。かつて「きみの悩みなんて宇宙に比べればちっぽけなものなのだよ?」という無責任な台詞が飛び交った時期があったけれど、きっとOrangestarが新しい曲を生み出す瞬間、音楽の世界で例えるとそれはきっとビックバンどころの騒ぎではない。(議題のスケールが大き過ぎて何が言いたいのかよく分からなくなってきた。)


「アスノヨゾラ哨戒班」 歌ってみた / ゆある

時が過ぎて去年の夏の終わり。あ!また出会ってしまった!と2度目の衝撃派。それがこの「快晴」で、奇しくもボカロPはOrangestar。声や見た目ではなく「この人の作る音楽に惹かれているのだ。」ということに気付かされたのは初めての経験だったのでこの時ばかりは鳥肌が立った。「アスノヨゾラ哨戒班」で床を突き抜けて「快晴」で壁が消えた。いくら腕を伸ばしても大声を出しても邪魔をする枷はないと思わせてくれる。更に解すと「何でも出来そうな気がする。」という魔法。この曲を最後に彼は活動を休止しているらしいけれど、わたしに3度目の衝撃をくれるのは間違いなく彼であって欲しいと思う。


MV『快晴』Orangestar feat.IA